ふるさとの国際交流:犬山市

大竹佑奈(政策学部 2年)

  最初に今回私が育った町、愛知県犬山市の国際交流を紹介したいと思います。みなさんは犬山市を知っていますか?日本有数の観光名所というわけではないですが、なかなか素敵な観光地です。犬山には安土桃山時代に建てられた国宝犬山城があり、春にお城の周りの桜が満開に咲く光景は何回見ても感動します。また山の中にある寂光院は通称もみじ寺と言われ、紅葉の季節には息をのむほどの美しい景色を見ることができます。


犬山城

犬山市の国際交流の歴史
  犬山市は“国際交流”という言葉が使われ始めた時代からいち早く国際交流へ取り組み始めた。1989年9月2日、日本ライン観光とドイツでライン下りをしているKD社が友好提携した。これが犬山市の最初の国際交流である。
  現在、犬山市の姉妹友好都市はドイツのザンクト・ゴアルスハウゼン市、アメリカのデービス市、中国のジョウハン市である。また、2006年に開催された愛知地球博で行われた一市町村一国フレンドシップ事業で犬山市は新たにドイツとエトリア国とパートナー国になった。
  最初の国際交流国がドイツであることからもおわかりの通り、犬山市はドイツとの交流が特に盛んに行われている。その国際交流のルーツは犬山市の北部を流れる木曽川が深く関係している。ヨーロッパを旅した理学者、故志賀重昴氏が木曽川をドイツ中部を流れるライン川に似ているとして「日本ライン」と名付けた。そして1992年6月、犬山市はライン川中流に位置する観光地ザンクト・ゴア市と友好都市提携を結びんだ。この町は「ライン下り」で世界的に有名なドイツの観光地である。そして1995年7月、犬山市は初代国際交流員ユリア・バーテルス氏を迎え、ドイツとの積極的な交流が始まったのである。現在の国際交流員である佐々木ゼルマー・シュテファニー氏は五代目であり、彼ら国際交流員を通してドイツ語講座、やドイツ料理講座、スタディーツアーなど多種多様な国際交流事業を通して交流を深めている。犬山市の国際交流センターの愛称「フロイデ」とはドイツ語で歓喜、喜びの意味であり、ここからもドイツとの親交の深さがうかがえる。こうした積極的な国際交流によって市民レベルでの個人同士の国際交流も活発に行われているようだ。

犬山市の最近の国際交流
  現在犬山市には14の国際交流ボランティアグループがある。国際交流から国際平和を考えるグループ、各国の料理講座、外国の方々に茶華道を教えるといった文化的交流を目的としたグループ、国際貢献や支援を目的に活動するグループなどその活動内容は実に多種多様であり、国際交流への入り口が様々な方向から開いている。市民の方も国際交流に積極的であり、現在850名の市民が会員になっている。
  また、友好姉妹都市以外の国や市との国際交流も盛んである。昨年7月には深刻化する中国内モンゴル自治区の砂漠化を防ぐために内モンゴルへの植林ツアーを実施し、ナイマンキ市の苗木基地を訪れ、植林する樹木・サジーの苗木を育てる作業を手伝った。また在住ペルー人グループとの交流も行っている。

国際交流の問題点
    しかし、国際交流の問題を抱えていることも事実である。ひとつは世界的な不況によって職を失う在住外国人が増加し、それによって住むことや食べることも困難な状況に陥る人々がでてきたということだ。この対策として犬山市は緊急生活支援募金の実施やチャリティーイベントや食糧支援を行っている。また市民のボランティアグループも使わなくなったものを寄付するなど金銭的援助だけでなく物資援助も行っている。
    第二の問題は現在紛争状態であるエリトリア国と国際交流を行うことが困難だということである。現在エリトリアは国境付近で近隣国との直接対峙が続いており、緊張状態が依然として続いている。また近年の深刻な干ばつ状態により国内経済も悪化している。今後、犬山市は医療支援などの支援活動に取り組みたいと考えているが、現在のエリトリア国の治安状況や内政状況的、そして犬山市の財政的にもなかなか難しいようである。

    最後に私は恥ずかしい話であるが自分の育った街がこれほど積極的に国際交流を行っているということを知らなかった。口では国際交流と言っていてもなぜ国際交流が今必要なのか、自分の街では具体的に何をしているのか理解していなかった。しかし今回記事を書くにあたり犬山市の国際交流を調べ、実際に活動している方の話を聞いて国際交流の本質や自分の身近な場所で行われている交流を肌で感じることができた。また、教室で聞く講義ではなく第一線で活動している角谷氏の生の声はとても興味深く、刺激になった。
    今回取材に協力していただいた犬山国際交流協会事務局長の角谷氏に深く感謝したい。熱心に話をしていただき、記事にしたこと以外にも貴重なお話をたくさん聞かせていただいたが全て書けないのが残念である。

    あなたの街はどんな国際交流をしているだろうか?知らない人は是非少し調べてみてほしい。国際交流は自分の身近なところから簡単に始められるのだ。

inserted by FC2 system