ふるさとの国際交流:奈良

川 恵実(社会学部 4年)

  東京での就職活動を終えて、私の故郷、奈良に帰ってくる。駅を降りた瞬間、なんともいえないほっとした気持ちになる。この10年で奈良の景色も変わったが、人々がもつどこか懐かしい穏やかさは変わらない。「大阪のベットタウン奈良」と呼ばれることもあってか、奈良を故郷とする人はとても多いからではないか。奈良の夕方は忙しい1日を終えてどこかほっと一息ついている顔がひろがっている。
  「奈良」といえば東大寺や興福寺などのお寺を想像する人は多いだろう。奈良公園でのんびり暮らしている鹿に鹿せんべいをあげて、若草山を登れば、奈良ならではの自然も体感できる。若草山といえば、私が通った幼稚園では全学年が毎年「若草山の山登り」をする。若草山に登ったら奈良の子だ。と言われていたのを懐かしく思い出す。そんな地元にとっては親しみの深い場所でもある。
  奈良駅前の繁華街から一歩入れば、格子の美しい町家が並ぶ地区がある。 軒先に赤いぬいぐるみの猿がぶらさがる不思議な町だ。 江戸・明治の面影を今に伝える「ならまち」である。かつて奈良に都があった「平城京」の「外京」にあたり、社寺のまちから商業、そして観光のまちに、時代の変化と共に、変化を遂げてきたまちだ。明治時代からのこる「町屋」は、間口が狭く、奥行きが広いという特徴を持っている。その理由はかつて商業のまちだった頃、町屋に住む人が均等に通りに面した店を構え、商売が出来るように、という意味をもっていた。また、町屋のなかにはかまどがあり、その上には「煙抜け」が設置されているが、これは、薪を燃やした煙が吹き抜けを通り 、屋根の「煙抜き」に抜けると同時に、煙によって家を支える柱や梁を虫から守る役目 も果たしていました。 町屋に住む人の知恵とその当時の生活がそのまま伺える「ならまち」。奈良に来た際にはぜひ足を運んでほしいスポットだ。
  人々の穏やかさと、歴史のかけらが残る町、奈良。そんな奈良の香りを多くの人に知ってほしいと思う。
ならまち
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