斎王代を務めさせていただいて

金井 志帆(政策学部 4年)

  2011年5月に京都で行われた葵祭で斎王代を務めさせていただきました。古くからの葵祭の様子を変えることなく、今日に至るまで受け継がれてこられた京都の人々の心に感銘を受けました。艶やかな平安装束に身を包んだ参列者の方々のお姿や、美しく飾りつけられた牛車や花傘が、今でも目に焼き付いております。
  薫風が清々しい五月晴れとなりました5月15日、十二単を身に纏うのは二度目ではありましたが、やはりその重みには歴史の深さを感じさせられ、緊張感を与えられるものでした。御輿に乗りこみ京都御所を出発すると、想像以上の多くの方々が迎えて下さり、緊張がますます高まりました。しかし、行列が進むにつれて、御輿の前を歩く童女の愛らしい姿だけを見つめていた視線を、沿道の人々へ向けることができました。行列を眺める方々が沿道から笑顔で手を振り、声を掛けて下さる姿を見て、喜びが込み上げ一瞬にして緊張を解くことができました。また賀茂街道では、京都の空に新緑が映え、鴨川沿いを練り歩く参列者の方々のお姿を見て、まるで平安時代へタイムスリップしたような気分になりました。身近な京都の町並みを、御輿の上から普段とは違ったところから見つめることができ、改めてこの貴重な経験を光栄に思いました。
金井、中央、京都御所にて
  高校生の時にアメリカ留学を経験し、日本の文化や歴史に関しての自分の知識の乏しさを実感しました。一方で、京都という歴史深い町に生まれ育ったことを誇りに思うようになり、京都に今も受け継がれている文化に興味を持つようになりました。葵祭は源氏物語をはじめとする多くの古典文学にも登場し、古くから多くの人々を魅了してきたお祭りであります。そのような歴史あるお祭りに奉仕させていただいたことは、身に余る光栄であり、これからの人生の糧になる貴重な経験となりました。
  この度第56代斎王代を務めさせていただき、伝統を守り抜くことは決して容易ではないことを身を持って感じました。多くの方々に支えられ、愛されている葵祭を今後とも後世に受け継いでいくことに、僅かな力ではございますが貢献して参りたいと思っております。これからも葵祭が多くの人々に愛され続けれることを願っています。
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