特集 スポーツ −2

スポーツとは何か?

大竹佑奈(政策学部 2年)

  この問いにあなたはなんと答えるだろうか。スポーツと聞いて一般的に思い浮かぶものは野球やサッカーなど体を使って競技を行うスポーツだろう。スポーツの定義は国や文化、歴史の流れで随分変わっているが、現在はスポーツに対する価値観が変化し、スポーツに求める社会的要求が変化している分岐点だと思う。今回はスポーツに対する新しい概念や新しく生まれたスポーツに焦点を当ててみたい。

  近年生まれた新しいスポーツのひとつにE−スポーツというものがある。E-スポーツとはエレクトロニック・スポーツの略式名称であり、複数のプレイヤーによって対戦されるコンピューターゲーム、テレビゲームをスポーツ競技として捉えるものである。体を使わない競技がスポーツの枠組みに属していることに違和感を覚える人は多いだろう。しかしチェスや囲碁と同じくマインドスポーツと呼ばれるスポーツの種類に属している。E-スポーツはオンラインでの大会や高額の賞金をかけられた世界的な規模の大会など様々な規模の大会が存在しアマチュアからプロフェッショナルまで競技が行われている。またE-スポーツには体に障害がある人もそうでない人も平等に参加できるスポーツとして、福祉的な展望も期待されている。

  もうひとつの新しいスポーツとしてストリートダンスが挙げられる。ストリートダンスは社交ダンスのように正式にスポーツとして認定されていないが、最近スポーツだとする声があがってきている。ストリートダンスが他のスポーツと大きく異なる点は整備されたルールやダンスの模範的な型が無いに等しいということである。ある程度の型やステップなどは存在するが、どのようにアレンジしても問題はなく、どう踊るかは個人の感性次第である。またダンスの模範となる型がないのでどの人のダンスが上手いかを決定するのは個人の主観のみである。しかしルールはないがバトルと呼ばれる競技的な側面も持ち合わせている。これはどのように勝敗を決定するのかというと、ランダムに選ばれた音楽に合わせてその場でダンスするというもので、どれだけ音楽にマッチしたダンスができるか、音を表現できるかという点で競技する。もちろん技術的なスキルも必要であるが、それよりも音楽にのれているか、オーディエンスを惹きつけられるか、そしてどれだけ自分自身ガ音を楽しんでいるのかが重要になってくる。これはスポーツの本来の意味である “戯れる、遊ぶ”という意味と同時に近代的なスポーツの意味である“競う”という競技的な側面を持ち合わせる新しいスポーツと言えるのではないかと私は考える。

  日本人はスポーツを教育や精神修養と結び付けがちである。スポーツを通じてしつけや礼儀を学ばせ、体を鍛える「国民体育」の概念が深く浸透しているからだろう。スポーツを心身の鍛練だけにとどめておくのはスポーツの可能性を摘んでしまっているように思う。今後、新しいスポーツを起点としてより一層スポーツが担う役割が広がることを期待したい。

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